●大人だからこそ楽しめる命のドラマ
2010年6月17日にリリースされるWii用ソフト『HOSPITAL. 6人の医師』。ニンテンドーDSやWiiでリリースされ人気を博した『カドゥケウス』シリーズから続く作品で、今回は6人の医師の物語が描かれていく。そんな同作を、フリーライターの世界三大三代川がプレイ。その印象をズバッと語ってもらった。
■より遊びやすくなった医療ドラマ
医療ドラマというジャンルは、世界中で人気がある。海外ドラマでは『ER 緊急救命室』や、昨年から日本の地上波で放送が始まった『ドクターハウス』。日本のドラマでは『白い巨塔』や『チーム?バチスタの栄光』などが有名だ。ドラマに限らずマンガでも『ブラック?ジャック』、『ブラック?ジャックによろしく』、『医龍-Team Medical Dragon-』などなど有名な作品を挙げればキリがないほど。……だが、これがゲームになると、医療ドラマというよりも医師を題材にした作品は驚くほど数が少ない。そんな医療ドラマを題材にしたゲームの先駆けと言える作品が、ニンテンドーDSやWiiで発売された『カドゥケウス』シリーズだ。
『カドゥケウス』シリーズは医療ドラマとしての魅力以上に、タッチペンやWiiリモコンを使った手術を疑似体験するシステムの人気が高く、コアゲーマーに熱く支持されたソフト。その一方で、手術シーンは難度が高く、クリアーまえに断念してしまうユーザーも少なくなかった。そんな『カドゥケウス』の開発チームが、手術シーンの楽しさはそのままに、誰もが楽しめるように難度を調整し、さらに医療ドラマとしてパワーアップさせた作品を作り出した。それが今回紹介する『HOSPITAL. 6人の医師』(以下、『HOSPITAL.』)である。
■主人公ごとに異なるプレイの楽しさ
『HOSPITAL.』は『6人の医師』というサブタイトルからもわかるとおり、6人の医師が主人公になる。それぞれ、外科手術、救急救命、整形外科、内視鏡、診断科、検視と専門分野が分かれており、プレイスタイルも大きく変化する。
外科手術は『カドゥケウス』シリーズでおなじみのスタイルで、患者の体力に気を付けながら手術を進めるというもの。本作の中では基本的なスタイルだが、もっとも使う器具が多く、道具を切り替える忙しさが楽しい。
救急救命は災害現場などで応急処置を行い、患者を搬送するまでを行うもの。同時に複数人の患者を扱うのだが、治療中にもどんどん新たな患者が増えていくプレッシャーは、プレイヤーに焦燥感を与え、それが手術にミスを呼ぶという連鎖になっていく。非常に忙しいアクション要素の大きいプレイスタイルだが、筆者はこの忙しさがもっとも楽しかった。
整形外科は外科手術と似た内容だが、患者の体力などに気を遣う必要はない。しかし、メスで一定のラインをなぞったり、ドリルで一定の深さまで骨を削ったりと、慎重さが求められる分野だ。しかも、骨にボルトを6本埋め込んだりと、同じような作業が連続しているため、自然と注意力は散漫になっていく。どれだけ緊張感を持続できるかが肝となる内容だ。
そして内視鏡は、アクション系のなかでは異色のスタイル。Wiiリモコンを押し出すようにして、内視鏡を身体の奥へと送り込みつつ、身体の中から患部を治療していく。3Dのトンネルのように表現された身体はまさに迷路となっており、患部を捜して体内をあちこちとさ迷うことになる。
一方、アクション要素がまったくない分野が診断科と検視。診断科は患者から話を聞いたり、聴診器で呼吸音を聞いたりしつつ、何の病気かを診断するというもの。取り調べをする刑事モノのアドベンチャーゲームのようだが、特別なのはMRIやCT検査の結果を見つつ、身体の異常を探すところ。正常な状態の検査結果と比べるのだが、これがなかなかの難しさ。簡単に言えば間違い探しなのだが、これが簡単に見つけられる人は医師に向いているかもしれない。
そして6番目に紹介するのは検視。これは事件で亡くなった被害者の身体や遺留品、現場の状況などから死因を探っていくというもの。調べるためには関係者のアリバイや、動機などが重要になる場合もあり、ジャンルとしてはまさに推理アドベンチャー。だが、推理と言っても難しく考える必要はなく、矛盾したポイントなどをパズルゲームのように見つけていくものである。
……というように、駆け足で6種類のゲームシステムを紹介したが、これが6人の主人公それぞれに割り当てられているのだ。これらは順番通りにプレイする必要はなく、外科手術が好きな人は外科手術パートを最後までやってから別の主人公をプレイするもよし、バランスよくプレイするもよしというように、プレイヤーの好みで選べるようになっている。だが、じつはこの自由に選択できるというシステムこそ、伏線を散りばめた秀逸なシステムなのである。
■うまく散りばめられた伏線
6人の医師は、個性豊かというよりも非常にクセもの揃いである。それは、メインの主人公と言える外科手術担当が懲役250年を受けている囚人で、“CR-S01”と囚人番号が名前になっていることからもわかるはず。そんなクセもの揃いの主人公は、それぞれバラバラに手術を行っていくのだが、いつしか物語は収束され、原因不明の大きな病魔と戦うことになる。その詳しい内容はネタバレとなるため、実際に遊んで経験してほしいのだが、そこに至るまでの経緯が非常にうまい。というのも、その大きな病魔に対抗するまでは、6人の主人公パートはどれをどのタイミングで選んでもいいのだが、じつは物語にちゃんとした時系列が存在するのだ。
たとえば、診断パートでは患者の病気を特定すればクリアーとなるが、診断された患者はじつはそのつぎの外科手術の患者として登場する。診断パートでは患者と対話するために顔が見えるものの、外科手術では直接顔を見ることがないため、カルテなどの名前を注意深く見ないと同じ患者だとわからない。だが、手術で治療するのはもちろん診断パートでプレイヤーが特定した病名なのだ。こういった散りばめられた伏線が多々あるうえに、最終的には大きな病魔へもつながっていくため、プレイしながら「ああ、ここでつながるのか!」と思わず感心してしまうこと請け合いである。
■終盤の展開は必見!
イラストからして魅力的なキャラクターは、豪華な声優陣に加え、マンガとアニメーションを融合したような独特の演出で、イラストの魅力をさらに際立たせている。それらの主人公が紡ぎ出す物語は、先へ進むにつれて謎が深まり、止めどきを見失うほどハマるはずだ。とくに物語終盤は、手術パートも含めて怒涛の展開となっており、とにかく先が気になってくる。一部では、シリーズファンがニヤリとする要素もあり、逆にシリーズを遊んでいない人には前作を遊びたくなる仕掛けにもなっている。これだけの魅力を感じられるのは、やはり6者6様のプレイスタイルが楽しめるという点が大きい。緊張感や焦燥感からの解放を味わえる手術パートと、謎を解いたような快感が味わえる診断と検視官のパート。それらは物語と密接に関係しており、とくに診断などは患者に病名を宣告するのが辛くなるほど、プレイヤーの感情を揺さぶってくる。医療ドラマが好きな人はもちろんだが、映画やドラマが好きな人も楽しめる大人のストーリー。興味がそそられた人は、ぜひ見逃すことなく体験していただきたい。そして個人的には、診断科や検視のパートがより深くなった続編が出ることを願っている。
text by 世界三大三代川
■著者プロフィール
世界三大三代川
『HOSPITAL.』のエンディングで思わず泣いた、週刊ファミ通編集部出身のフリーライター。内視鏡を飲むのは苦手だが、まさかゲームでプレイするのも苦手だとは思わなかった。体内のどこかに内視鏡をぶつけてしまうと、ゲーム内の患者につい謝ってしまう。
HOSPITAL. 6人の医師
■機種:Wii
■メーカー:アトラス
■発売日:2010年6月17日発売
■価格:6980円[税込]
■テイスト/ジャンル:医療?ドラマ/アクション
■備考:ディレクター:金田大輔、キャラクターデザイン:土居政之
※『HOSPITAL. 6人の医師』の公式サイトはこちら
hosp.atlusnet.jp/
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引用元:RMT(リアルマネートレード)専門サイト『RMTワンファースト』
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